子どもの3大夏風邪といわれるヘルパンギーナ・手足口病・プール熱。
そのうち、ヘルパンギーナは5歳以下の子どもを中心に流行するため、「小児の感染症」ともいわれています。
しかし、大人がヘルパンギーナを発症しないわけではありません。
ウイルスへの接触機会が増えれば、大人もヘルパンギーナを発症する確率が上がります。
そこで、今回は大人のヘルパンギーナの症状と対策について解説していきます。
ヘルパンギーナが流行
ヘルパンギーナは毎年5月頃から増加し始め、7月頃ピークに達し、9〜10月にかけてほとんど見られなくなるといった流行パターンを辿っています。
新型コロナウイルスが広がる前の2019年の夏はそれなりに流行していましたが、2020年以降、発生が減少していました。
しかし、2023年には新型コロナウイルスが5類になり、社会活動の活発化に伴いヘルパンギーナが流行しました。
5歳以下の子どもの感染が目立ちますが、大人でも免疫力が低下していると感染することがあります。
とくに多く見られるのは、ヘルパンギーナに感染した子どもを看病しているうちに家族で感染するケースです。
大人のヘルパンギーナの基礎知識
ヘルパンギーナとは、発熱と口の中の粘膜にできる水疱（水ぶくれ）の発疹が特徴のウイルス性の咽頭炎です。
大人が感染すると子どもよりも症状が重くなったり、長引いたりする傾向があるため注意が必要です。
症状と原因
大人が感染する要因には、寝不足、疲労、体調不良や免疫力の低下などが挙げられます。
症状は発熱、強いのどの痛みなどの他に、頭痛、関節痛、筋肉痛を伴うことも。
また、口の中やのどの粘膜に直径1〜2mmから5mm程度の痛みを伴う水疱ができます。
通常、発熱は2〜4日程度、のどの痛みは1週間前後で治まり回復することがほとんどです。
潜伏期間と感染経路
ヘルパンギーナの感染経路は主に3つに分けられます。
飛沫感染：ウイルスが唾液やくしゃみに含まれる飛沫から感染する
経口感染：ウイルスを含む便が手指について口に入ることで感染する
接触感染：水疱の内容物を含んだ液体に触れることで感染する
ヘルパンギーナは、おおよそ3〜6日間の潜伏期間を経て発症するとされています。
ヘルパンギーナに罹った場合、感染力が最も強いときは感染後最初の1〜2週間で、ウイルス排出は3週間、便中には最大8週間排出するとされています。
ヘルパンギーナの予防法はある？
現在、ヘルパンギーナに有効なワクチンや予防薬はありません。
また、ヘルパンギーナの原因であるウイルスはアルコールや熱への抵抗力が高いため、アルコール消毒はあまり効果がありません。
感染予防のためには、日頃の手洗いや咳エチケットが有効です。
基本的な感染対策
体調が悪いときは外出を控えましょう。
不特定多数の人がいる場所ではマスクをつけ、帰宅後は手洗いやうがいを行いましょう。
手洗いは石鹸を用いて最低15秒以上行い、洗った後はペーパータオルなどで水を十分に拭き取ることが大切です。
また、口をゆすいだあとにうがいを10秒以上2回行うといいでしょう。
免疫力・抵抗力を高める
体温が上がると免疫細胞が動きやすくなることがわかっているため、運動や入浴などで体温を上げることが大切です。
バランスのよい食事、十分な休養、規則正しい生活をすることで免疫力を高めましょう。
夏風邪対策には漢方薬もおすすめ
免疫力を高めるには、漢方薬もおすすめです。
漢方薬は、心とからだのバランスを整えてからだの機能低下を根本から改善することで元気なからだ作りを目指します。
免疫力を高めるためには、
- 胃腸の機能を回復する
- 血液循環をよくして全身に栄養を届ける
- 自律神経を整えて、睡眠の質を上げ、心身の疲労を軽減する
といった働きのある生薬を含む漢方薬を選ぶといいでしょう。
夏の不調におすすめの漢方薬
- 清暑益気湯（せいしょえっきとう）
夏バテや熱中症の代表的な漢方薬で、暑さで弱った胃腸を元気にし、からだの熱を冷まします。
エネルギーを補うため、夏の暑さによる体力低下、全身倦怠に効果があります。
- 十全大補湯（じゅうぜんたいほとう）
気（エネルギー）、血（栄養）を補うことで、胃腸の働きを高めます。
貧血を改善し、疲労回復、虚弱体質などに用いられ、手足の冷えがある人や食欲のない人に適しています。
漢方薬は自分に合っていなければ十分な効果が得られないばかりか、場合によっては副作用が生じることもあります。
漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談しながら自分に合った漢方薬を見極めましょう。
自分に合う漢方薬を知りたいという人は、漢方のプロにオンラインで個別相談できる『あんしん漢方』も覗いてみてください。
スマホで気軽に相談でき、AI（人工知能）が個々に効く漢方を見極めて自宅まで郵送してくれる漢方薬のオーダーメイドサービスです。
まとめ
ヘルパンギーナは比較的早く回復する感染症ですが、事前知識がないと感染を広げてしまうこともあります。
感染対策を適切に実施して、元気に夏を乗り切ってくださいね。
公式｜あんしん漢方
＜この記事の監修者＞
医師｜木村 眞樹子（きむらまきこ）
都内大学病院､KDDIビルクリニックで循環器内科および内科に在勤。総合内科専門医・循環器内科専門医・日本睡眠学会専門医｡産業医として企業の健康経営にも携わる。
自身の妊娠・出産、産業医の経験を経て、予防医学・未病の重要さと東洋医学に着目し、臨床の場でも西洋薬のメリットを生かしながら漢方の処方を行う。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行う。
あわせて読みたい｜マタイク（mataiku）
