春が終わり、健康診断の結果がそろそろ返ってくる頃。
毎年「今年こそは……」と思っていたのに、また赤字の項目がちらほら──そんな経験、ありませんか?
血糖値、コレステロール、中性脂肪、尿酸値__年齢を重ねるにつれて、ちょっとした数値の変化が気になり始めるのが、40〜50代という世代です。
「なんとなくからだの調子が違う」
「でも何から手をつけていいかわからない」
そんなあなたに知ってほしいのが、“腸”の存在です。
実は最近、腸内環境とさまざまな数値との関係に注目が集まっているんです。
血糖値が気になる人にこそ、腸のケアを
まずは血糖値。
高めだと将来のリスクが気になりますが、実は腸内細菌がつくる「短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)」という物質が、血糖のバランスを保つカギになるかもしれないのです。
この短鎖脂肪酸、腸の善玉菌が食物繊維をエサにして作り出すもの。
腸のバリアを支えたり、からだのいろんな機能に関わるものなのです。
つまり、腸を整えておけば、血糖の乱れにくい状態を目指せる可能性があるということ。
コレステロールや脂質の数値も、腸がカギ?
次に気になるのが、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪。
健康診断で「要注意」になりやすい項目です。
実は腸内細菌は、脂肪の消化に関わる「胆汁酸(たんじゅうさん)」という物質の調整役も担っているといわれています。
腸内のバランスが崩れると、この胆汁酸の動きも乱れて、脂質代謝にも影響が出るかもしれない──そんな研究結果も出てきているのです。(※1)
腸の状態とコレステロールの数値、一見関係なさそうでいて、実はリンクしている可能性があるとなれば、見逃せません。
尿酸値と腸内環境の知られざる関係
「痛風予備軍」といわれる人にとって、尿酸値は超・重要項目。
実は、尿酸のうち約3割が腸管から排出されているってご存知でしたか?(※2)
腸の調子が悪いと、尿酸をうまく外に出せなくなる可能性もあります。
つまり、「お酒を控える」だけじゃなく、「腸の状態を整える」ことも、尿酸値対策のひとつになりうるわけです。
「腸から整える」が新しい健康習慣の入り口
健康診断で気になる数値があったとき、「運動しなきゃ」「野菜をもっと食べなきゃ」などと思いますよね。
でも、その前に「腸を整えること」から始めてみませんか?
腸は、栄養を吸収し、老廃物を排出し、からだのリズムを調整する“中心的な存在”。
まさに、からだの土台です。
毎日ヨーグルトや納豆を欠かさず食べて、食物繊維もしっかり……といきたいところですが、忙しい毎日で完璧に続けるのはなかなか難しい。
そんな方におすすめなのが、サプリメントや健康食品の活用です。
腸活に特化した健康食品で手軽にスタート
生活習慣を変えるのは、実際なかなか難しいもの。
そんなときはサプリメントや健康食品の力を借りるのも賢い方法です。
腸のコンディションを意識したい人のために設計された健康食品も、近年増えてきています。
腸活を意識する方は、乳酸菌・酪酸菌・食物繊維などがバランスよく含まれているものを選びましょう。
粉末タイプのサプリメントを選べば、水やヨーグルトにサッと混ぜて飲むだけ。
面倒さがなく手軽にできる方法で続けることが大切です。
まとめ
健康診断の“気になる数値”は、からだからのサイン。
まずは腸に目を向けて、自分のからだとしっかり向き合ってみませんか?
数値の改善が楽しみになるようなからだや生活習慣を目指したいですね。
【参考文献】
(※1)(研究成果) 腸内細菌アッカーマンシア・ムシニフィラの胆汁酸耐性機構の一部を解明|農研機構
(※2)小腸からの尿酸排泄の重要性が明らかに。~透析患者の5人に2人が関連:小腸からの排泄低下で尿酸値が大きく上昇~|東京薬科大学
<この記事の監修者>
後藤利夫/医師
1988年、東京大学医学部卒業。独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発。大腸内視鏡6万件以上無事故のベテラン医師。大腸がん予防から始まった腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深く、菌のパワーを使って健康になる方法を各所で伝授し続けている乳酸菌の専門家。
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