「心」は目に見えません。
これは、大人や子どもといった年齢に関係なく、見ることができませんよね。
しかし私たちは他者との関係において、「どう思っているだろう?」「こうしたら喜ぶかも」と、人の「心」を考えて行動します。
いったい人は、いつから「見えない心」の存在に気づくのでしょうか?
「心の理解」に関する研究
人がお互いに心理的な状態を理解することは、安定した人間関係を作ったり、円滑に社会生活を営む上で不可欠なことです。
「心の理解」というテーマを扱った有名な研究は、プレマック(Premack, D.)という霊長類学者らによる「心の理論」研究です。
「心の理論」(こころのりろん、英: Theory of Mind, ToM)は、ヒトや類人猿などが、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する直観による心の機能のことである。
出典:Wikipedia「心の理論」
プレマックらはチンパンジーの集団を使った実験で、仲間を欺いたり、それを推測するかのような行動を発見しました。
この研究が発端となり、現在では、「心」は自分の心理状態も含めて直接観察できるものではなく、相手の「心」の動きを想像して初めて他者の行動が理解できる、ということが明らかとなりました。
ただし、この分野はまだまだ研究途上であり、現在も世界中で研究が継続しています。
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子どもが「心」を理解する時期
先ほどご紹介した理論からわかるのは、他者が「何をしようとしているのか」という意図を理解することが、「心の理解」にとって重要であるという点です。
子どもに関して言えば、最初に出会う他者は養育者です。
つまり、子どもは養育者とのコミュニケーションを通して、自分とは違う他者の心の状態に気づいていきます。
他者の心の状態を推測したり想像できるようになる年齢は、やはり諸説ある中で、およそ4歳を過ぎた頃とする説が有力です。
ただ近年は、一番最初の気づきは1歳になる前とも言わており、その理由を次の章でご説明します。
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注目される「共同注意」とは?
心理学の世界で、「心の理解」との関連が注目されているのが、生後9か月ごろから始める「共同注意」です。
これは、例えば他者が一点を見つめると、子どもも同じようにそちらを見つめるというものです。
母親が見たり指さす方向に、赤ちゃんの顔が向けば、それが「共同注意」ですね。
「心の理解」がいつから始まるかという議論はあるものの、少なくとも「共同注意」が成立するには、注意を向けるという「心の理解」が必要であるとされています。
そこで、「共同注意」を「心の理論」の基礎段階とするならば、人は9ヶ月頃(1歳未満)で「心の理解」が芽生えている、ということになるのです。
ごっこ遊びには「心の理解」が必要
1歳未満で「心の理解」が芽生えた赤ちゃんは、生後18か月頃になると、自分と自分以外の意図を区別できるようになります。
そしてこの時期には、ごっこ遊びを行うようになります。
ごっこ遊びでは役になりきるため、相手がどのような役を行っているか、どのような気持ちで話しているのか、といった理解が必要です。
つまり、ごっこ遊びを上手にやれるということは、子どもの「心の理解」が順調に発達していることを示しています。
まとめ
以上、心を理解する基礎は、生まれてまもない頃から存在することをお伝えしました。
子どもは1歳代までに、自分や自分以外の人が、「それぞれ考えを持っている」ということを理解できるようになります。
そして発達と共に、自分の考えを言葉にできるようになるのです。
しかし、成長のスピードは必ずしも全員同じではありません。
早いからいい・遅いからだめ、ということはありませんので、子ども自身の個性を尊重しながら見守ってくださいね。
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