手頃な価格でカツ丼を食べられる店として成長してきた「かつや」、現在も外食チェーンの中では十分に安い価格帯ですが、かつてのような圧倒的なお得感は薄れています。
一方、競合の「松のや」は低価格を維持しながら店舗を拡大、両社の明暗を分けたのは数十円の価格差だけではなさそうです。
かつや、安いのに客が離れる600円の壁?
かつやの客離れが目立ち始めたのは、度重なる値上げによって看板商品の印象が変わった時期と重なります。
最も安い「カツ丼(梅)」は、2022年には539円(税込)、その後、原材料費や人件費などの上昇を背景に値上げが繰り返され、現在は682円(税込)となっています。
かつやには、500円以上の会計でもらえる100円引き券があり、カツ丼(梅)に割引券を使えば、500円以下で食べることができたため、安くてボリュームのある食事を求める男性客を中心に支持されていましたが、現在は100円引きでも支払額は582円です。
決して高額ではありませんが、ワンコインで食べられる店という分かりやすい魅力は失われつつあります。
682円(税込)という価格だけを見れば、現在の物価を考えると十分に良心的で、味や提供スピードへの評価も高く、具だくさんのとん汁など、かつやならではの強みもあります。
それでも消費者は、500円台だった商品が600円台になると、実際の値上げ幅以上に高くなったと感じやすく、ラーメンに1000円の壁があるように、カツ丼にも600円の壁が存在しているのかもしれません。
かつやを上回る松のやの効率経営
かつやの苦戦をさらに目立たせているのが、競合する「松のや」の成長です。
松のやでは、ロースかつ丼を690円(税込)で提供しており、価格はかつやとほとんど変わりませんが、 定食メニューとして割安感があります。
かつやは、セントラルキッチンや自動フライヤーを活用し、とんかつをファストフード化した先駆者で、専門的な技術を持つ職人に頼らなくても、短時間で一定品質の商品を提供できる仕組みをつくり、低価格を実現しました。
一方の松のやは、そこからさらに効率化を進め、券売機で注文し水や料理の受け取り、食器の返却まで利用者が行うセルフサービスを採用、接客に必要な人員を抑え、家賃や人件費の高い都市部でも出店しやすい構造を築いています。
郊外のロードサイドを中心に展開するかつやに対し、松のやは駅前や都市部で一人客や通勤客を取り込んでおり、似た商品を扱いながら異なる客層と立地を選んだことも成長につながっていると言えるでしょう。
味や提供スピードなどの強みを持つかつやが、価格以外の魅力をどのように打ち出すのかが今後の焦点となりそうですね。
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