乳幼児がイオン飲料を飲みすぎると健康に大きな影響が出ることが報告されました。夏場の水分補給に便利な飲み物について、注意点や水分補給の工夫について見てみましょう。
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イオン飲料
水分補給や熱中症対策に手軽に購入できるイオン飲料。暑い季節は特に重宝しますよね。 「イオン飲料」とは、カリウムやナトリウムなどの電解質が入っている飲み物のことです。このイオン飲料ですが、乳幼児に限っては大量に摂取すると栄養バランスの偏りのため摂取した物が体内に吸収されず身体に異常をきたす原因になっていることが分かりました。
多量のイオン飲料で健康状態が悪化
昨年、「日本小児医療保健協議会」が行なった調査によると、イオン飲料を多量に飲み続けたことで健康状態が悪化した乳幼児の報告があり、昨年までの10年間で少なくとも24例、過去30年間では計33例あったことが分かりました。ビタミンB1不足が問題だったようです。
水分補給に良いとされるイオン飲料やスポーツドリンクなどを多量に飲み続け、健康状態が悪化した乳幼児の報告が、昨年までの10年間で少なくとも24例、31年で33例あったことが日本小児科学会などの調査でわかった。
2017年6月11日朝日新聞
委員会によると、1986年以降の報告で、7カ月~2歳11カ月の33人がビタミンB1不足のため、意識障害や浮腫などを起こし、1人が死亡していた。
原因を知っておこう
暑い時期の水分補給は重要で脱水状態にならないよう注意しなくてはなりませんが、イオン飲料には乳幼児にとって注意点があるようです。
イオン飲料と呼ばれる飲み物のほとんどは、糖やミネラルを含むが、糖をエネルギーに変換するのに必要なビタミンB1が含まれない。ビタミンB1を含むミルクや離乳食などをとらずに多く飲み続けると、ビタミンB1欠乏症になる。
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換させるのに必要な栄養素で、玄米や豚肉、サツマイモに多く含まれています。
大人用とベビー用の成分の違い
イオン飲料の大人用とベビー用で成分の大きな違いは電解質のバランスや栄養分です。 大人と乳幼児では身体の電解質バランスが異なるため、浸透率が調整されています。大人用のイオン飲料はスポーツをする人のバランスに合せて作られているため、大人用のものを仮に薄めてみても、乳幼児には塩分や糖分が多すぎるため、腎臓に負担がかかります。 これは、ミネラル分の多い「硬水」の話と同じようです。
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飲む必要のある時
このように栄養や成分調整が考えられた乳幼児用のイオン飲料。乳幼児に飲ませる際は、外出時や発熱時など「緊急時の補給」が適しています。 大量に汗をかいて、ぐったりしている時や高熱で何も食べられない時などを目安にしましょう。 また、ここ数年で増えてきた新しい成分配合の健康飲料関係も、乳幼児への影響は分かっていません。「トクホ」「栄養ドリンク」など、大人にとっては助かる成分の飲料物も、小さな子供には不適といえます。
虫歯との関連
緊急時に役立つイオン飲料ですが、常用化に注意です。虫歯がある子は、ジュースやイオン飲料を飲む習慣があることが多いと指摘されています。 イオン飲料に含まれている糖分が酸性のため、充分な歯磨きが難しい幼児期の虫歯に繋がりやすいのです。小さなお子さんの飲み物には家族が知識を持って注意してあげることが必要なのですね。
栄養補給に玄米ご飯やフォローアップミルク
栄養面が心配な乳幼児期ですが、お子さんによっては離乳食をあまり食べてくれなかったり、好き嫌いが多い場合もあります。 栄養バランスが心配な場合には、フォローアップミルクも取り入れてみましょう。 フォローアップミルクは栄養補給に適していて、各メーカーとも3歳頃までの利用を勧めています。また、ビタミンB1については、離乳食のご飯を玄米入りやビタミン強化米に替える等、工夫することで不足を補えそうです。
栄養バランスの良い乳幼児飲料
乳幼児の身体には栄養バランスや浸透圧が重要であることが分かりました。飲み方に気をつける問題はありますが、発熱時、災害時、熱中症で体調を崩した場合など緊急時には適切な量を守って活用しましょう。